海外の制作会社と連絡がとれなくなった事例と依頼時の注意点

海外の制作会社と連絡がとれなくなった事例と依頼時の注意点

ホームページ制作会社の倒産や音信不通は、よくご相談いただく事例です。今回はオフショア開発を依頼した(海外の開発会社に委託した)際のトラブル事例と、オフショア開発の注意点をお伝えします。

オフショア開発を依頼する企業が増えている

オフショア開発とは、システム開発などを海外の開発会社に委託することです。ベトナム、フィリピン、インドなどが人気で、人件費が比較的安いことや、窓口が日本の企業(または日本語で対応できる企業)も多いため、依頼する企業が増えています。

日本国内と比較して開発費用を30~70%程度削減できる可能性があり、優秀なエンジニアが多数存在するため、同じ品質のシステムをより低コストで開発できるのがメリットです。

ただし、文化の違いによるコミュニケーションの齟齬や、品質管理に対する認識の違いなどからトラブルが発生することもあります。

海外の制作会社と連絡がとれなくなった事例

海外の制作会社と連絡が取れず困っている、とのことで弊社にご相談がありました。

制作会社からの廃業連絡

制作会社から廃業の連絡があり、その後ホームページにアクセスするとWebサイトが表示されなくなっている。今後のことを確認しようとメールや電話で連絡を試みましたが、連絡がとれない状況。

サーバーの管理も委託していた

Webサイトと社内システムの開発を海外の制作会社へ依頼していた。すでにリリース後で問題なく稼働していたものの、サーバー管理もすべて制作会社に任せていたため、今後いつまで現在のWebサイトや社内システムが使用できるのか分からない状況でした。

メールと社内システム保守も委託

最悪の場合、ホームページは作り直すこともできるが、メールや社内システムが停止してしまうと業務運営に支障をきたしてしまう。どうにかできないか、とこの時点で弊社にご相談をいただきました。

弊社での現状調査

判明している範囲で弊社にて現状を確認したところ、サーバーは国内の比較的メジャーなサーバー会社であることが分かりました。サーバー会社は基本的に契約者本人以外へ情報を提供しません。ただし、制作会社に委託していても、契約者名が実際にはWebサイトの所有者になっているケースも稀にあるため、まずはサーバー会社へ問い合わせを行い、事情を説明してみることをおすすめしました。

国内のサーバー会社への連絡

対象ドメインと状況をサーバー会社に伝えていただき、Webサイトやシステムが本当にそのサーバーで運用されているか、契約者は誰になっているかなどを確認してもらいました。残念ながら、契約者は海外の制作会社になっており、やはり情報開示は困難な状況でした。

サーバー会社から契約者への連絡を依頼

契約者が制作会社名義になっていたため、サーバー会社も依頼者からの要望に応えることができませんでしたが、代わりにサーバー会社から契約者へ直接連絡をしてもらうことができました。しかし、連絡はとれず、絶望的な状況となりました。

唯一可能だった対処法

システムの管理画面にログインできる状態だったため、複数のシステム開発会社に現在の仕様を確認してもらい、見積もりを取って復元を依頼することが最短の手段ではないか、という回答となりました。

今回の事例は防げたか?

今回のケースでは、ご相談いただいた時点でまだシステムが稼働していたことが救いでしたが、開発はゼロからのスタートとなるためコストもかかります。また、前制作会社が契約しているサーバーの契約期間が終了する前に新しいシステム開発がリリースできない場合、運用に支障をきたすことになります。

海外に限らず、日本国内でもフリーランスや代表者一人で経営している法人へ依頼する場合、万が一連絡がとれなくなった際のことを前提として、重要な情報は事前に開示してもらうなど、制作開始前の契約に十分注意が必要です。

サーバーやドメインなど専門的な管理を委託する場合も、内容をしっかり確認し、万が一の際の対処法を事前に確認しておきましょう。

海外の制作会社に依頼する際の、事前段階での重要な注意点

パートナー企業の選定基準

技術面

技術面はなかなか判断しづらい部分もあるため、類似プロジェクトの実績を見せてもらうと判断しやすくなります。
口頭での依頼だけでなく、必ず詳細な仕様書を作成し、お互いの認識にずれが生じないよう徹底しましょう。

セキュリティー対策

開発用サーバーのセキュリティ設定、スタッフの作業環境の管理など、どのような対策を行っているか確認しましょう。

以前ご相談いただいたお客様の事例では、海外の制作会社のアカウント経由で不正ログインが発覚したことがありました。海外の制作会社が不正操作を行ったわけではなく、制作会社のログインアカウントが何らかの理由で外部に流出し、マルウェア感染が発生した事例です。この事例では原因を追及することができず、責任を明確にすることもできませんでした。

コミュニケーション体制

依頼者が日本語しか話せない場合、委託先の日本語レベルを確認しておく必要があります。また、文化的な違いへの理解度も重要です。日本では当たり前のことでも、海外では決して当たり前ではないこともあります。

定期的な進捗報告をルール化し、時差がある場合は対応時間や緊急時の対応についても事前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

オフショア開発はコスト削減や優秀な人材の活用につながる有効な手段ですが、今回の事例のように予期しないトラブルが発生する可能性もあります。

重要なのは「もしものとき」を想定した準備です。サーバーやドメインの契約者情報の確認、重要なアカウント情報の共有、緊急時の連絡体制の構築など、事前の準備がトラブル時の被害を最小限に抑えることができます。

海外・国内を問わず、制作会社選びでは価格だけでなく、信頼性や継続性も重要な判断基準として考慮し、リスクを理解した上で適切な対策を講じることで、オフショア開発やフリーランスなどへの依頼のメリットを最大限に活用できるでしょう。

制作会社との契約前には、ぜひ今回ご紹介した注意点を参考にしていただき、安心してプロジェクトを進められる体制を整えることをおすすめします。